この記事はIターンを考えている人向けのものです。
Uターンを考えている人には参考にならないので、
お断りをしておきます。
コロナの自粛要請により、多くの人が在宅勤務を経験しました。
経験者の中には、「会社に行かなくても仕事ができる」
「満員電車に乗らなくていい」「自分の時間が増えた」など
在宅勤務をプラスに考えた人も多いようです。
そして、コロナが収束しても今後在宅勤務は
新しい働き方として日本でも定着すると考えられます。
そうした背景が後押しして、地方在住を考えている人が
増えてきました。
私は東京都港区に生まれ、千葉県、茨城県(学生時代)
就職してからは再び千葉県千葉市に住みました。
そして、訳あって日本人の多くが大好きな富士山が
大きく見える静岡県の地域に13年住んでいました。
そして、現在は神奈川県に引っ越してきました。
こんな経験がある私から、地方在住を考えている方へ
地方に住むことの実態をお伝えして、
地方在住の前準備としてやっておいた方が良いことを
お伝えしていこうと思います。
地方在住を考えている人はどの位いるのか?
「JOIN 一般社団法人 移住・交流推進機構」のデータを
参考にさせてもらいました。
そこに「田舎暮らしについて500人に聞いてみた!」という調査が
載っています。
なんと56.7%の人が田舎へ移住したいと回答しています。
その理由として、気になったのが、
1位 自然に囲まれて暮らせそう
4位 人が少ない場所で暮らせそう
「よりよい教育環境が与えられそう」という答えが
子供を自然の中で育てられるとは別の項目で上がっていました。
自然が豊かで、人が少ない地方を考えるならば、
決して、地方都市ではない事が考えられます。
自然が豊かなところを求めるならば、田舎暮らしになります。
人が少ないことを求めても同様です。
「よりよい教育環境が与えられそう」という答えをなぜ選んだのかは
私には全く見当がつきません。
「自然の中で伸び伸びと子育てをしたい」ならわかるし、
それは可能です。
しかし、それ以外でどのようなより良い教育環境があるのでしょうか?
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地方在住を考えている人へ。教育環境はどうなの?
学校は公立しかありません。
しかも、財政が厳しいので、学校の施設すら不十分です。
例えば、学校の図書館も貧しいです。
子供が通っていた学校には何十年前に買ったのか、
わからないような本しかありませんでした。
少し離れた所に1学年1クラスの小学校がありました。
そこの保護者から聞いた話ですが、一度荒れてしまうと
手がつけられないとのこと。
しかも、6年間同じクラスになるので、友達付き合いも
とても負担になったそうです。
テレビで見る田舎の学校のイメージとは随分違いますね。
さらに、驚いたのが大学受験の予備校がないこと。
浪人したら、東京へ住んで予備校へ通うというのが
常識だそうです。
高校の数も少ないので、偏差値の高い大学受験が可能な
高校も1つです。
その高校に入れなければ、普通の大学に入るしかありません。
さらに、交通機関がないので、親の送り迎えも
必要になる場合も出てきます。
親が「子供は伸び伸びと遊んでいればいい」と思っていても、
子供も成長しますし、何を目指すようになるかはわかりません。
くれぐれも親の意向だけで、子供の未来を決めてしまわないように
注意してください。
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地方在住を考えている人が移住してみたい県はどこ?
同じくJOINからみてみると
1位 沖縄県 2位 北海道 3位 神奈川 4位 長野県
5位 福岡県 6位 千葉県 7位 静岡県 8位 埼玉県
という結果でした。
田舎へ移住したいという意見と移住したい県が本当に
あっているのかを見ていきます。
1位 沖縄県、2位 北海道、4位 長野県、7位静岡県
これらは自然にも恵まれて、人が少ない場所を選ぶ為には
よいと思います。
一方、3位 神奈川県、6位 千葉県、8位埼玉県は
全て首都圏であり、自然に恵まれ、かつ人が少ない所を選ぶ為には
相当に不便な場所になる事は理解して欲しいと思います。
神奈川県、千葉県、埼玉県への移住をしたいと思っている人は
何かあったときに東京へ行ける事を前提に考えているように
感じます。
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地方在住のメリットは何か
1、自然が豊かな場所で暮らせます。
2、人が少ない場所で暮らせます。
東京や地方都市に住んでいた人なら、いわゆる地方へ移住すれば、
人口は少ないので、2番目にあげた「人が少ない場所で暮らす」のは
比較的簡単だと思います。
しかし、残念ながら地方でも必ずしも、自然が豊とは限りません。
実際に私が住んでいた静岡県のとある市でも、
数年の間に畑がなくなり、住宅地へと変わり、
豊かな自然を求めるならば、車で数十分走らなければ
ならなくなりました。
これは自治体により大きな差があると思いますが、
自然があるという事で、住んでいた市内には
子供が遊べる公園が数えるほどしかなかったです。
外で遊ぶ子は家の前の道路で遊んでいました。
住宅地でそれほど交通量が多くないので、
狭い所で出来る遊びに限られていますが。
自然の中で暮らしたいという願望を叶える為には
生活する上での相当な不便を覚悟する必要があります。
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地方在住のデメリットは何か
本当に地方在住を目指している方には、きちんとお伝えしたい点です。
1、公共交通機関が整備されていない為に、車が1人1代必要
自分では自然の中で暮らしたいと考えながら、車の排気ガスを増やすという
矛盾した行為をしなければなりません。
自動車の維持費、自動車税、ガソリン代は必須です。
自動車には乗りたくないという方は、平地を探せばかなり遠くまで
自転車で出かけられます。
具体的にいうと、バスは1時間に1本が基本で、
非常に不便なので、住民も乗らなくなります。
すると、さらに本数が減るという悪循環が起こります。
私の経験で言うと、電車のローカル線に乗ったのは
13年でたったの2回、新幹線の方が遥かに多く乗りました。
でも、新幹線の駅までは自動車で行く方法しかありませんでした。
2、お店が少なく、物価が高い場合もある
スーパーやホームセンターがあれば良しと言えます。
そのお店も近くにあればいいですが、車で行く事が多いかもしれません。
ただし、都市部と違って駐車場代はかからないと思います。
よく、地方は物価が安いと言いますが、家賃や土地代に
関しては言えると思います。
戸建てを購入できれば、ラッキーです。
もちろん、都市部に比べれば、家賃は安いですが、
意外と高い地域もありますし、地方へ行けば行くほど、
賃貸物件が少ないと言えます。
特にマンションに住むのは困難です。
そもそも高い建物が立っていませんから・・・
スーパーの話に戻りますが、スーパーが少ないと
競争相手がいないので、商品は安くなりません。
下手をすると、東京よりも物価が高いとも言えます。
スーパーが増える為には人口が増えるという条件が
必要なので、田舎だと思って住んでいた所が、
住宅地になるということもあります。
ショッピングセンターなどは望めませんので、
都会暮らしに慣れた人にとっては、
「欲しいものを通販だけで購入する」事は結構ストレスになります。
自分の目で見て、洋服などを買う事は出来なくなります。
商品の種類も少ないのは仕方がありません。
静岡へ転居したのは今から15年前ですが、
私は趣味でかなり本格的にパン作りをしていました。
しかし、引越し先にはパン作りの材料すらありませんでした。
材料が普通に買えるようになったのは10年後くらいです。
3、医療機関が整っていない
持病がある方やお子さんがいる方は、ちゃんと
病院に行ける地域を選んでください。
ただし、病院があるからと安心してはいけません。
私は千葉市で医療機関に勤務していました。
その為、1回行けば、このクリニックの医療水準が
どれ位なのかを把握できました。
シビアな話ですが、医療水準は30年も遅れていました。
「尿に糖が出てないから、あなたは糖尿病ではありません」と
中待合室で聞いた時にはもうドン引きでした。
しかも、技術は無い医師ほど天狗になっています。
ちなみに、静岡県は東部は医療過疎地域で、
東西が長い県なのに、西部には医療機関が揃っており、
「西部では助かる命も東部では助からない」と
西部の医師が講演会で話していました。
静岡への移住を考えている方は東部は
候補から外した方が賢明です。
一般の方には医療機関の水準の見方が難しいのかもしれませんが、
都会で受けられる医療水準は求めてはいけません。
市立病院もありますが、医師の退職が止まらず、
様々な診療科が縮小されていきました。
さらに、お金がないので、古い医療機器を
使い続けています。
私は乳癌をやりましたが、市立病院で見た画像と
手術を受けた病院の画像の差があまりにも大きくて
驚きました。
自然の豊かな地方には人口も少ないし、市区町村の税収も
少ないです。
ですから、十分な公立病院を維持する力量が無い事は
頭に入れておいてください。
今は元気でも年を重ねれば、病気になるリスクも上がるので
長いスパンで人生設計をして地方に移住して欲しいと思います。
4、田舎の人は暖かいと聞くけれど・・・
テレビ番組では芸能人が田舎を訪問して「みんながとても温かくて」
というコメントを何度も聞いた事があります。
移住を歓迎している所なら、同様の体験が出来ると思います。
しかし、私がいた地域は違いました。
とても閉鎖的で外から来た者を受け入れない所でした。
町内会の仕組みは恐ろしい程でした。
転入届をした時に市役所で町内会は「〇〇の△区A班」ですと言われ、
引越しの挨拶は何十軒も班長さんと一緒に回りました。
途中で人数が増えて、町内会の班が20軒に減ったその後、
班長が回ってきて、古くから住んでいる地主の方が亡くなりました。
葬式はその土地のしきたりのやり方で行い、
班長が葬式の責任者になるという
都会の人には想像もつかないこともやりました。
葬儀場の受付も全て班の人がやり、お金も扱う、墓の掃除もする、
葬式のためなら、仕事を休むのは当たり前でした。
しかも、いまだに男尊女子が当然で、男性の役割と
女性の役割が決められていました。
都会のように、お通夜の受付と御香典だけを
渡す人は1人もいません。
お通夜と告別式の両方に出る人も多いです。
その土地によって、住んでいる人の傾向があります。
わかりやすい例をあげると、東京と大阪と名古屋を
考えてみてください。
5、文化・芸術とは縁がないと割り切って
先ほど、パン作りで都会では当たり前のものも
10年遅いと書きましたが、文化・芸術に触れる機会は
グンと減ります。
自然の豊かな田舎を求めた人は、
舞台・落語・美術館・・・
などの文化と直接触れ合う事は不可能かと
思います。
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地方在住を考えているのなら、時間をかけて納得がいく場所を決めよう
「JOIN 一般社団法人 移住・交流推進機構」のように
地方に在住する人のためのお手伝いをしてくれる
団体があります。
家族の長期のプランを固めた上で、
地方在住で叶えたい希望の優先順位を決めて
地方への移住を勧める団体に相談する事を
お勧めします。
そして、1回だけみた雰囲気で決めない事。
同じ場所も何度も足を運んで欲しいし、
何箇所か候補をあげるといいですね。
住民の人と住民の人と話す機会もたくさんあると
いいですね。
まとめ
住む場所を変えるというのはそんなに簡単な
ことではありません。
引っ越しをして、そこの暮らしに慣れるには
時間もかかります。
住んで、初めてわかることも多いですので、
とにかく準備と丁寧にやって欲しいと思います。
私が住んだところは残念な場所でしたが、
この記事を読んで、参考にしてもらい
あなたが本気で地方在住を考えているのなら、
住んで良かったと思える場所を選べるように
応援しています。