監護者性交罪の裁判で養女の記憶のない理由と裁判所の力量

養女と性交をして、養父が監護者性交罪に問われた裁判が続いています。

1審で養女の証言に具体性がなかった理由と、

きちんとした知識の上に立った立場から各裁判所の力量について述べていきます。

養女と性交したとして、監護者性交罪に問われた男の裁判の流れと最高裁の判決について

福岡県の自宅で同居する養女と性交したとして、監護者性交罪に問われた男(39)について、

最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は11日付の決定で被告側の上告を棄却した。

無罪とした1審・福岡地裁判決を破棄し、審理を同地裁に差し戻した

2審・福岡高裁判決が確定する。

 

男は2018年1~2月、養女(当時14歳)と性交したとして、起訴された。

昨年7月の1審判決は被害に遭ったとする養女の証言について、

「実際に体験しなければ話せないといえるほどの具体性がなく、

信用しがたい」と判断した。

これに対し、今年3月の2審判決は

2審でなどと指摘。

「さらに審理を尽くして、証言の信用性を吟味するべきだ」として、

裁判をやり直すよう命じていた。

引用 Yahoo!ニュース



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なぜ、養女の証言は具体性がなかったのか

昨年7月の1審判決は被害に遭ったとする養女の証言について、

「実際に体験しなければ話せないといえるほどの具体性がなく、

信用しがたい」と判断されています。

 

この養女は訴えを起こしていることからわかるように、

養父から性的な関係を求められて、拒絶したかったのでしょう。

しかし、大人の男の力には勝てません。

受け入れざるを得なかったのです。

 

このように、自分の意思に反して性的な行為をされていると、

今、ここで起こっているのは自分のことでは無いと思う事で

辛さを減らそうとする働きがあります。

それを「解離」と言いますが、意識を飛ばしてしまうのです。

 

そうすると、その時の記憶もはっきりとは覚えていられなくなります。

あまりにも辛い記憶なので、忘れてしまうことも多いです。

 

その為に「実際に体験しなければ話せないといえるほどの具体性」が

無かったのです。



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1審の裁判官の能力が足りないと言えるのか?

私見ですが、裁判官が知らなくてもおかしくは無いと思います。

その理由は、家庭内で繰り返し虐待、この養女の場合は性的虐待を受けると

解離性同一性障害(多重人格)や複雑性PTSDを発症する事があります。

複雑性PTSDの柱となる症状が「解離」なのです。

 

複雑性PTSDは2019年にWHOで初めて病名が採用されたばかりです。

アメリカ精神医学会が出版している、精神疾患の診断基準・診断分類のDSMでは

まだ採用されていません。

そのようなことも影響しているのか、日本の精神科医で複雑性PTSDを理解している人は

少数ですし、まだその病気すら認めようとしない精神科医もいます。

 

日本では医師より臨床心理士の方が複雑性PTSDについて、勉強をして治療を行なっている

人の方がはるかに多いのが現状です。

 

だいぶ話が膨らみましたが、精神科医が理解していないくらいの知識を裁判官が知らなくても

それは無理のないことだと思います。

 

むしろ、2審で「性犯罪被害者は被害の詳細を語れないことがあり、

具体性がないからといって架空の被害と推論するのは不適当」という判断をした

裁判官がとても優秀だったと言えると思います。



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最高裁第3小法廷が被告側の上告を棄却は画期的

私は大学で法律を学び、裁判についても随分と勉強しました。

その立場から、最高裁第3小法廷が被告側の上告を棄却したことにもかなり驚きました。

というのも、最高裁第3小法廷は保守的で、今まで出た判決に従い判決を下すという

特徴があるからです。

大事な裁判でも最高裁で第3小法廷に決まった時点で、画期的な判決は出されません。

それなのに、まだ家庭内の性的な犯罪に対する判決が少ない中で、

良く被告側の上告を棄却したと思いました。



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まとめ

養女と性交をして、養父が監護者性交罪に問われた裁判で

1審で養女の証言に具体性がなかった理由と、

きちんとした知識の上に立った立場から各裁判所の力量について述べてきました。

 

当時養女は14歳だったのは報道にありますが、現在何歳なのか気になります。

と言いますのも、訴えを起こすエネルギーが彼女に残っていると考えて良いのなら、

彼女の健康状態もそれ程悪くないのではと予測が立ちます。

 

しかし、裁判を主にやっているのが母親で、彼女の記憶があやふやなら、

病気を発症している可能性も考えられます。

 

複雑性PTSDには治療法が確立されていません。

アメリカでは複雑性PTSDになる前にPTSD特有のトラウマを解消する治療が

無料で受けられます。

日本の精神科医にも早く目を覚まして、精神科医が知識を広めて欲しいものです。

 

 

 

 

 

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